設立趣意書

持続可能な社会の実現に向けた挑戦

 法隆寺金堂は、世界遺産にも登録された世界最古の木造建築である。七世紀に建立され、1300年の長きにわたり奈良斑鳩の地に建つ。その間、約400年から600年の間隔で大規模な修復作業が行われ、壮麗な姿を維持し続けている。さらに実際には、こうした大修復作業の合間に細かな修繕が絶え間なく行われ、バラを育てる時に使われるローズカレンダーとも言うべきマネジメント計画を持っていると言われている。

 大切な物は、一度造ったらきちんと手入れして、長く大切に使う。この先人のマネジメントの教えが社会基盤の持続可能性を実現するために、今必要である。
 我が国のセメントコンクリートの歴史は、僅か133年である。小樽港北防波堤など、100年以上供用され続けているコンクリート構造物も現存するが、50年前後で更新されている構造物が大半である。
 一方、古代セメントと言われる天然セメント材料はイフタフ遺跡が最古で、9000年の歴史があり、40MPaの非常に高い圧縮強度を現在も維持している。100年程度の長寿命化は現状の延長線である。対症療法的に更新している構造物が1000年という単位で供用できるとしたならば、社会基盤の環境負荷が無視できるものとなることは容易に理解できる。
 1000年という単位で社会基盤の超長寿命化を実現可能なものとするためには、先の先人の教えと共に、超長期耐久性技術のイノベーションに挑戦しなければならない。
 高度成長期に建設された多くの構造物が深刻な老朽化を迎える今こそ、次世代に負の遺産を残さないためにも、このような考え方が求められる。


持続可能な社会の到来

 IPCC第四次評価報告書(2007年)は、「地球の平均気温上昇を2.0~2.4℃に抑えるには、CO2排出量を2050年で2000年に対して50~85%削減する必要がある」と報告した。また、2008年7月に開催された洞爺湖サミットでは、 2050年までに温室効果ガス排出量を半減する長期目標がG8首脳宣言として採択された。

 経済の仕組みの中で、「成長と環境」という言葉は、「サステナビリティ」や「持続可能な社会」などの言葉とともに、環境や資源の有限性を認識し成長と環境を矛盾なく達成させる意味を込めて頻繁に使われるようになっている。
 この「持続可能な社会」を実現するためには、温室効果ガス排出量を削減しながら、資源生産性を大幅に高めなければならない。


社会基盤の持続可能性

我が国は経済成長とともに、道路や鉄道、橋梁、ダム、堤防、港湾、空港、各種エネルギー施設、上下水道など様々な社会基盤施設が大量に整備されてきた。これらは経済活動を支えるインフラとして将来にわたり供用され続けなければならない。しかし、供用50年を越える構造物の割合が年々増加し、適切且つ効率的な維持管理と更新が望まれている。

 一方、環境負荷の側面から社会基盤をみると、主な建設材料である鉄鋼およびセメントはエネルギー多消費型産業であり、建設資材の生産から施設運用を含む建設に関わるCO2排出量は全産業の半分を占め、社会基盤の環境負荷への影響は極めて大きい。しかし、これらの製造時のエネルギー効率は世界最高水準であり、温室効果ガス抑制効果においても群を抜いている。「持続可能な社会」を実現するためには、「つくっては壊す」フロー消費型社会から、「いいものをつくって、きちんと手入れして、長く大切に使う」ストック型社会への転換が急務である。


社会基盤の超長寿命化による持続可能な社会の実現のために

 社会基盤を「使う」立場である一般市民の方々、「研究する」立場にある学識者の方々、「計画する」立場にある行政、施設管理者の方々、「造る」立場にある建設会社やコンサルティング、材料メーカーの方々の参画と議論による、技術イノベーションを伴う社会基盤の超長寿命化システムの提案を行う会議体を組織する。

 また併せて“開かれた会議体組織”として、議論の成果を外部に広く発信、意見交流のためのセミナーなど講習会を開催し、次世代環境システムの啓蒙普及活動を行う。
 さらに、学協会やNPOなど各種機関や組織と連携し、社会基盤の超長寿命化システムを検証する場として、社会実験の実現を目指す。


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